肌のバリア機能って何? 知っておきたい美肌の基礎知識

「最近、肌が乾燥しやすい」
「なんだか赤みやかゆみが出やすい」
そんな「なんとなく不調」を感じたことはありませんか。

特に30代前後になると、仕事や生活リズムの変化、紫外線や季節の移り変わりによって肌のコンディションが揺らぎやすくなります。

その背景にあるのが肌のバリア機能です。美肌を語るうえで欠かせないキーワードですが、意外と知られていないことも多くあります。

今回はこのバリア機能の基本から乱れる原因、そして日々のスキンケアでどう整えていくのかをわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 



◾️肌のバリア機能とは?


まず、バリア機能の正体を見ていきましょう。

肌の表面には「角層(角質層)」と呼ばれるわずか0.02mmほどの薄い層があります。この角層はレンガのように積み重なる角質細胞と、それをつなぎ合わせるセラミドなどの細胞間脂質、さらに皮脂膜で構成され外部刺激を防ぎながら水分を保持する、いわゆる“壁”のような存在です。

これが角層バリアで、多くの人が想像する「バリア機能」ですが、肌にはもう1つバリア機能が備わっています。それがタイトジャンクションバリアです。

角質層より奥の顆粒層には「タイトジャンクション」と呼ばれる構造があります。これは細胞同士がひも状のタンパク質で強固に結びつき、外敵の侵入や水分の流出をほぼ完全にシャットアウトする、まるで「最後の砦」のような存在です。これを「タイトジャンクションバリア」と呼びます。

つまり、「肌のバリア機能」とは

・肌表面の「角層バリア」
・顆粒層にある「タイトジャンクションバリア」

この二重構造になっており、これらが安定した状態であってこそ、私たちの肌は紫外線・花粉・乾燥・摩擦といった日常のストレスから守られ、健やかな状態を保てるといえるでしょう。

<参考>
バリア機能の状態を測る指標として経皮水分蒸散量(TEWL)がよく用いられます。これは肌からどれくらい水分が蒸発しているかを示すもので、蒸散量が少なければ少ないほど「肌がうるおいをしっかり閉じ込められている=バリア機能が高い」と判断できます。

 

◾️バリア機能が乱れる原因は?

ここからは、バリア機能が低下すると肌にはどのような変化が現れるのかみていきましょう。

(1)過剰な洗顔・摩擦・パックのやりすぎ

バリア機能を損なう最大の要因は、日常のスキンケアです。

界面活性剤を含む洗顔料やクレンジングは汚れと同時にセラミドや天然保湿因子まで奪ってしまうため、知らず知らずのうちにバリア成分を流出させています。

さらに、泡立て不足でこすったり、パックを高頻度で行うことも角層を膨潤させて配列を乱し、バリア機能の低下につながります。

(2)紫外線・乾燥・ストレス

紫外線は細胞を傷つけ、角層やタイトジャンクションの機能を弱体化させます。

乾燥はターンオーバーの乱れや角層の細胞間脂質を減少させ、ストレスなどによるホルモン変化もタイトジャンクションを乱すことが明らかになっています。

(3)「化粧水をたっぷり=潤う」の誤解

よく耳にする「化粧水をたっぷり与えれば潤う」という言葉ですが、与えた量と肌の潤いは比例するわけではありません。

肌の水分保持力を決めるのは“バリア機能の高さ”であり、バリアが弱いままでは外から水分を与えてもすぐに蒸発してしまいます。つまり、バリアを整えなければいくら与えても潤いは長続きしません。

このように、バリア機能が乱れると乾燥・赤み・かゆみ・化粧ノリの悪さなど、日常の肌悩みに直結します。

◾️バリア機能を整えるスキンケア

では、どうすればバリア機能を守り、高めることができるのでしょうか。

(1)洗顔を見直す

まず最優先すべきは洗顔。洗い上がりの感覚として「キュッキュ」とした乾燥感を感じている場合はマイルドな洗顔を見直しましょう。

・しっかり泡立ててこすらない
・できるだけ手早く洗う
・弱酸性・低刺激のアイテムを選ぶ

などを徹底するだけでもバリアの損失は抑えられます。できる限り肌のバリア成分の流出を防ぎながら汚れを落とすということを意識するのがおすすめです。

(2)バリア成分を補給・シンプルケア

洗顔の後は「補う」ケアです。

・セラミド類
・ナイアシンアミド

など、バリア成分を補いましょう。セラミド類は肌に不足しがちな成分で、適切に補うことは角層バリアの強化に直結し、ナイアシンアミドは皮膚内のセラミド合成を促進する働きがあるため間接的にバリア機能をサポートします。

また、シンプルステップのケアも大切です。過度なスキンケアによる「物理的摩擦によるダメージ」や「長時間のスキンケアによる水分蒸散量の増加」の関連性も研究により報告されていますので注意しましょう。

こうした日常のスキンケアを意識し、肌の防御力を底上げしていくことがとても重要です。

(3)紫外線対策

紫外線はバリア機能へ影響を与える大きな要因です。

季節によって紫外線量に差はあるものの、シーズンを問わず日差しは降り注いでいます。

近年は過酷な夏の長期化や気候変動が大きいため、1年を通して紫外線対策はしておきましょう。

(4)角質ケア化粧水で「守る+整える」

また、古い角質や汚れによるゴワつきや肌印象が気になる時は、肌状態を見ながら角質ケアを取りいれるのもおすすめです。

古い角質をやさしくオフしながら、セラミドや保湿成分を角層にスムーズに届けることで、肌の土台そのものであるバリア機能のサポートにつながります。

 

まとめ

肌のバリア機能は、外からの刺激を防ぐだけでなく、内側のうるおいを守る大切な仕組みです。

角層とタイトジャンクションの二重構造が整ってこそ、乾燥や赤み、ゆらぎに負けない安定した美肌が生まれます。

そのためには、バリアを壊さない洗顔を徹底しながら必要な成分を補い、乾燥・紫外線から守りながら、時には整えるケアなど、その時の肌に合わせて無理をしない選択をしましょう。

未来の自分の肌のために、今日からバリア機能を意識したスキンケアを始めてみませんか?
 

 

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<執筆者コメント>
「肌のバリア機能を守る」という土台のお手入れは、印象に残るような攻めたものではなく「毎日コツコツ」行う地味なものです。

しかし、この地味なお手入れこそが肌を健やかにし、健やかな肌は美容の可能性を大きく広げます。

過酷な環境に変化しつつある今だからこそ、ぜひこの機会に「守る」お手入れを見直してみませんか。

〜明日の美しさが広がるお手入れを〜

執筆者:西川美佐子

*1 グレープフルーツ果実エキス・リンゴ果実エキス・レモン果汁・オレンジ果汁・ライム果汁(整肌成分)
*2 保湿・整肌成分